自筆証書遺言の作り方⑥-豆知識

今回は、実際に遺言書を書いた後の注意点を確認していきたいと思います。
遺言書は、一度作成した後において、いつでも書き直すことができます。その時に注意していただきたい事項がありますので、以下で見ていきましょう。

前に書いた遺言書と内容が矛盾する遺言書を書いた場合

例えば、「自宅の土地・建物はAに相続させる」とした遺言書を作成した後、「自宅の土地・建物はBに相続させる」とした遺言書を作成した場合が問題となります。
このように、内容が矛盾する遺言書が存在する場合、前に作成された遺言書については、その矛盾する限度で、後の遺言により撤回されたことになります。
よって、この場合は、「自宅の土地・建物」についての遺言は、後の遺言書が効力を有することになります。

なお、前に書いた遺言書と、後に書いた遺言書の内容が矛盾しない場合、例えば、「自宅の土地・建物はAに相続させる」とした遺言書と、、「預貯金はBに相続させる」とした遺言書が存在する場合は、作成の前後を問わず、どちらの遺言書も有効です。

遺言者が、遺言書に書いた内容と矛盾するような行為をした場合

例えば、「自宅の土地・建物はAに相続させる」とした遺言書を作成した後、遺言者が、自宅の土地・建物をCに売却してしまったような場合も、その限度で遺言は撤回されたものとみなされます。
遺言者自身が、遺言に反するような行為をしているということは、矛盾する内容の遺言を作成した時と同様、当然に遺言に書いた内容を撤回する意思があると推認できるからです。

遺言書を書きなおす時は・・・

上記で説明したとおり、複数の遺言があったとしても、遺言自体が無効となることはないのですが、新しく遺言を書きなおす場合には、前に書いた遺言書は、破棄してしまうのが良いでしょう。
遺言書が複数あると、相続人が混乱するでしょうし、無用の争いを生む可能性もあるからです。
内容の一部を書き直したい場合でも、あらためて全部を書き直し、古い遺言書は破棄しましょう。